12/3二重の虹を見た

 
 
 
 
12月3日金曜日、朝目覚めるとすごい雨だった。
仕事に行くのを少し遅らせようと思ったが、靴下の替えとタオルを持って家を出た。
 
土砂降りの雨。
道がちょっとした川のように水が流れていて、通れない。
スニーカーの靴底では浸水してしまう。
しかたがない、諦めて、覚悟を決めて、じゃぶじゃぶと水たまりの中を歩く。
 
当然、スニーカーは中までびしょ濡れ
ジーンズも太股のあたりまで叩きつける雨でびしょびしょ。
 
なんだか、悲しいような、嬉しいような。
これが通勤の道じゃなければ楽しいのだろうが・・・
これから仕事だと思うと先が思いやられた。
 
仕事場の駅を降りると、どういう訳か雨は止んで、
雲が流れ、青空までのぞき始めた。
 
見上げると、大きな虹がかかっていた。
正確に言うと、初め虹のようなきらめきが、見る見る大きな虹になり、
しかも、最後には二重になった。
僕は、虹を見上げながら職場までの道を歩いた。
確かに、赤から紫まで、七色の色彩が見えた。
 
向こうから歩いてくる人たちは、虹にまったく気付いていない様子だった。
駅から降りて、職場まで行くまでの間だけ、その虹は出ていた。
職場に着くころには消えてしまった。
  
とても大きくて、ダブルになっている虹。
最後に虹を見たのは何年前だっただろう。
確か、14,5年前だ。
 
職場に着いて、ロッカー室で、靴下を履き換えようとしたが、
リュックもびしょびしょで、中に入れておいた替えの靴下もタオルも濡れていた。
しかたがないので、その日は一日中裸足で過ごした。
裸足だと、なんだか、とても気持ちよかった。
 
虹を見たせいだろうか
日中、仕事をしていて、とても幸せな気分になった。
 
そんなことはめったにない。
 
だから、もう過ぎてしまったことだけど
ここに記録しておこうと思った。