どうでもいいジジイとケモノのような若者
今日はとっても醜い、見た目じゃなくて存在自体が醜いジジイを一人、許してやった。
本人はどれだけこっちが我慢してそうしてやっているのかも知らず、人を罵倒していた。
どうしようもない人間だ。
賭けマージャン、パチンコで金を使って、
住むアパート代、喰う弁当代をあっちこっちに借金して、
なんとも思っていない。
来月返します、その次には返しますと嘘ばかりつかれて、
弁当を何カ月も届け続けた弁当屋が3軒。
明日出ていきますと言われ続けて、家賃を4カ月滞納された不動産屋の社長。
今日債権者全員を集めた。
本人はなにも恥ずかしいとも思っていないらしい。
どうするつもりなのかと問うと、今日アパートを出ていく、滞納した家賃は返さないと言う。
どこに行くつもりだと問うと、新しいアパートを借りると言う。
金もないのにどうやって契約するのかと問うと、
来月になったらお金が払えるから、そうしたら全額払いますと言ったら、契約させてくれると言われたと言う。
そのお金はどこから得るのかと問うと、
「そうキャンキャン騒ぐな」と言う。
ぜんぜん騒いでなんかいない。ただ、自分の債権をどうやって支払うつもりか聞いているのに、とぼけて話をどんどんはぐらかせていくだけだから、問い詰めて行っただけだ。
最初は、だまって聞いていたら、いいようなことばかり話して、時間をつぶしていた。
ぜんぜん関係ないこと。自分は弱い善人で、人にだまされてきたと。
話をはぐらかし、善人ぶり、同情を惹くのには長けている。
自分は悪いと少しも思っていない。
だから、本質的なことを問い詰めていったら、ついに開き直った。
自分は弱者だ。弱者をいじめて殺す気か! と初めて本性を見せて怒った。
こういう奴が偽善者っていうもんだ。
でも、結局許してやった。
債権者も全員、このいい齢をしたバカを許した。
毎月少しずつでも返してくれたらいい。
ただ、こいつは、1%も言っていることが信用できないから、
代わりに、金銭の出納を全額、管理することにした。
ジジイはしきりに自分の楽しみができなくなったと嘆いていた。
お前の楽しみのために、こっちはタダ働きしてるわけじゃないぞ!
虫のように小さい偽善者だが、騙される訳がないのを本人は分からないらしい。
自分では何も働いていない。
借金を作っては逃げて、どこかでまた、人をだまして、生きていきた。
小さな小さなクズみたいな人間だ。
もう一人は、若い男。
彼はがんばっているから、励ましてやった。
社会に適応できない獣のような若者。
歯が真っ黒で、虫歯だらけだ。
風呂もろくに入っていない様子。
親も兄弟も縁がない。
きっと誰からも励まされた経験がないのだろう。
今月を乗り越えたら楽になるから頑張れよと言うと、
何度も頭を下げて恐縮していた。
仕事を始めて、自分で苦労して稼ぎ始めて、借金を返し始めた。
今月、滞納していた家賃を返済すれば完済だ。
来月から楽になる。
自立しろよ。若者。
お前はまだ、この社会でどうやって生きて行っていいのか分からないのだ。
でも、だんだん慣れる。
ちょっとしたやり方があるんだ。
でも面白いのは逆にこの人間社会かもしれない。
自然界に生きる獣は野生じゃないと生きていけない。
飼いならされたら、強いものに殺されてしまう。
でも、この人間社会は、野生じゃ生きていけない。
獣は飼いならされ、一定のルールを叩きこまれなければならない。
直感で判断することを止め、
常識で判断することを身につければ、
ある程度はこの社会で生きる術を身に付けたことになる。
あとは、機械のように毎日働くことだ。
そうして、その稼いだ金で支払うのだ。
自分の衣食住を提供してくれる商品をサービスを貨幣を支払って購入し
購入するために貨幣を稼ぐのだ。
そのために毎朝、決まった電車に乗って仕事にでかけるのだ。
野ら犬を殺して食べたり、
野宿したり、
裸でいたりしたらいけない。
きみは獣じゃなくて、人間なのだから。
”立派な””成人した””社会人”なのだから。
というわけだ。
というわけで、今日の私の、娑婆での仕事は夜7時過ぎに終わった。
youtubeで尾崎豊を検索して鑑賞した。
すごいアーティストだと思った。
覚醒剤で死んでしまった。
人間を止めてしまった。
若いままでこの世を去ろうとしたのだろうか。
でも、もう少し生きていて欲しかった。
そうすれば、もっと違う歌が生まれていたかもしれない。
純粋で、正直で、美しく、若いままで死んだ。
でも、この世の中は、汚くて、嘘つきで、醜いけど
みんなそこで生きているんだ。
そこで、少しは世俗の知恵を学べば、
もっと磨かれた、巧妙な武器を持つことができたかもしれない。
この汚い世俗を少しでも美しくできる武器。
それがアートのはずだ。