お通夜

  
 
義理の兄のお通夜だった。
 
斎場は墓地の中にある。
 
広い墓地だ。
 
納棺して、わらじを履かせ、旅支度をさせてお別れをした。
 
むくんでしまってだいぶ人相が変わってしまっていたが、
 
やすらかな表情をしていた。
 
亡くなる前日、兄のことを思い出していた。
 
一緒によく飲んだことなど。
 
次の日、息を引き取ったと聞いた。
 
涙は出なかったが、なんとも言えない気持がした。
 
人が亡くなるというのは、やはり悲しいことだ。
 
誰でもこの世を去っていくのだけれど。
 
その人の個性は、変わらない。 
 
親戚が久しぶりに集まって、
 
また、一段と年をとっていることに気づかされる。 
 
みんな、平等に年をとっていく。
 
そして、その先には、死がある。
 
だから、せめても、
 
その人その人の個性の赴くまま、
 
人それぞれの幸せを感じ、笑い、満足して
 
今を生きることが、なにより大切なことなのだ。
 
  
明日は葬儀だ。