ヒラリー・クリントン様

 
 
ヒラリー・クリントン国務大臣
 
あなたは今日、国務大臣就任後、どの国にも先駆けてこの日本に訪問されました。
 
日本国民の一人として、とても光栄に感じます。
 
きっと、あなたの旦那さんが、ジャパンパッシングされたのを気遣ってくださったのでしょう。
 
でも、実は、日本はアジアでそんなに重要な国では最早ないのです。
 
むしろ、先に中国を訪問された方が、世界のためにはよかったのです。
 
(残念なことですが、事実です・・・)
 
私は、あなたの姿を見て、うらやましく感じました。
 
実は私はあなたが大統領になると思っていたのです。
 
そして、あなたは、実に魅力的な方でした。
 
今日、TVで見て改めてそれが分かりました。
 
あなたのような政治家は、残念なことに、この日本には皆無です。
 
それは、日本人が自ら、自分たちのリーダーを選べない政治の仕組みになっているからです。
 
大統領制でないばかりではなく、小選挙区制度の中で、世襲の政治家がなんの指導力もないまま、ただただ慣習的に再選されているのが現状です。
 
そして、天皇が、日本国民の象徴であり、リーダーである限り、それを超える指導者は現れるはずもないのです。
 
そして、天皇は空虚の象徴です。
 
日本が近代化する過程で担ぎ上げた近代国家の元首であるのですが、
 
担がれた権力であって、初めからなんの実力も実態もないのです。
 
そして、欧米のものまねをして、国民国家を作り、植民地政策を推し進めた日本は、
 
自らを育んでくれたアジアの近隣諸国を傷つけ、そして、未だに反省もしていない。
 
だから、到底、アジアで指導的な地位に就くことなど不可能なことなのです。
 
このように言う日本人は、今は、とてもとても少数派です。
 
ブッシュ前大統領になってから、世界はとても保守化し、右傾化しました。
 
日本でも憲法を改正してでも、軍事力を堂々と行使できるようにしようという主張が、
 
正論として大多数から歓迎されるようになりました。
 
ところが、私は、そのような主張は、馬鹿げていると思うのです。
 
あなたは、実はリベラルで、平和主義者であると私は信じているのですが、
 
政治の世界では、フェミニンな理想主義はマッチョな現実主義に打ち負かされてしまうが常です。
 
でも、だからと言って、戦争によって、なんの罪もない女子供が戦車や爆撃機の砲弾に焼かれ、
 
劣化ウラン弾放射能汚染によって奇形児が生まれることを誰も誇りには思わないでしょう。
 
そのような軍隊は、実際、まったく必要ないと私は信じています。
 
そして、女性であるあなたもそうに違いないと思うのです。
 
だから、あなたには希望があり、理想があり、それを実現できる光があるのです。
 
あなたは、それを今、実現しようとして、この国に訪問されました。
 
しかし、どうでしょう。
 
この国の政治家のたった一人も、
 
そのような理想を持っている人はいないのです。
 
もっと矮小な理想、経済だの利益だので右往左往するだけの小物の集まりです。
 
あなたには、そのことがお分かりになったでしょう。
 
しかし、確かに経済は大切なのは確かです。
 
現在、世界恐慌の兆しが深まっていく中、
 
世界は、何らかの人類の叡智を奮い起こして、本当に平和で豊かで幸せな世界の実現に向けて、
 
”理想”を共有する必要があるのです。
 
理想は夢物語ではなく、実現可能な、否、実現しなければならない人類のあるべき姿です。
 
それは、人種も、言語も、性別も、年齢も、そのほか、
 
思想も、宗教も、貧富の差も、知能の差も、力の差も、どんな違いにもとらわれない、
 
人間として共通の当たり前のあるべき理想の生き方です。
 
だれも、自分が不幸になりたいと思って生きている人はいません。
 
だれも、自分が蔑まれたり、差別されることを喜ぶものはいません。
 
だから、強い者が勝ち残るという”競争原理”は、人間社会にはふさわしくないないのは明らかです。
 
弱肉強食が自然の摂理だと、ダーウィンの進化論は教えてるのかもしれませんが、
 
人間社会に関する限り、そのような競争原理を市場経済の原則にしてしまうと、
 
やがては人間社会は破滅するでしょう。
 
その兆候がすでに見え始めている今、
 
私があなたに期待していることは、
 
女性原理による平和主義の理想を堂々と掲げてほしいのです。
 
それは、ともすれば、たわごと、夢想、などと揶揄されもするでしょうが、
 
本当にリアルな”現実”は、どのような法則によって成り立っているのか知りもしない
 
愚か者の誹謗中傷に過ぎません。
 
そのような言動によっては、この世に光はもたらされることは永遠になく、
 
あるのは、戦争、闘争、差別、貧困、殺し合い、弱肉強食、誹謗中傷の暗黒の人間社会です。
 
だから、私は今日、あなたのスピーチを聞いて、光を感じたまま、書きました。
 
おやすみなさい。
 
ヒラリー・クリントン