幸福の結果

 
 
どうやら”幸福の原因”は、風邪が治りかけていた為だったらしい。
風邪のひき始めと治り始めはとても気分がいい。
もうほぼ全快したので、数日前まで感じていた不思議な”多幸感”は消えうせてしまった。
残念。
でも、思えば、風邪って、やっぱりそれなりに肉体的には苦痛なんだよね。
頭は痛いし、鼻水は出るし、喉も晴れ上がるし。
でも、微熱があるとその苦痛が”快感”というか”幸福感”に感じられるから不思議だ。
たぶん、日常的に多少の肉体的苦痛があった方が、人間、というか、動物としての人間は”幸福”なのかもしれない。
人間は前頭葉が発達し過ぎて、動物的本能を察知する能力を失っているような気がする。
論理的思考に脳内エネルギーを使っていると、その分、生きている実感を感じる感受性が弱くなっているのかもしれない。
周りの気配を感じ、危険を予測する動物としての警戒感を怠っている分だけ、生きている実感も希薄になっているような気がする。
風邪をひくと、肉体的に弱った分だけ、今まで気がつかなかった私の個としての”生命の営み”に気づかされる。
それが、生命としての存在の神秘であり、存在することの幸福感となって感じられたのだろう。