微熱だと風が涼しい

 
 

昨日は涼しかったのにクーラーを掛けて寝たので
今日は風邪をひいたらしい。
昨日はなんだか身体が熱くて眠れなかったのだ。
  
今日は涼しい風が吹いているから
窓を開けていると気持ちいい。
少し熱があるから
なんだかとっても気持ちいい。
 
つまり、微熱状態ってとてもいいのに
これが長くは続かない
急に熱が上がるか
また平熱に戻るかしてしまう。
 
たぶん恋もそれに似ているような気がする
微熱状態の”憧れ”が一番いい
接近し過ぎて愛し合ったりしたら
熱すぎて我を忘れてしまうし
遠くに行きすぎると
日常に埋没して恋も忘れてしまう
 
微熱は程よい”夢見”状態
咽喉がガラガラして
歌うとハスキーボイスでいい感じだし
音楽を聴くと新鮮に感じる
絵を描くといい絵が描ける
 
勝手に脳がイメージを生産し始めて
気づくと支離滅裂なトーリーを紡ぎだしている
それなのに不思議にも思わない
なんだか急に文脈が飛んでるんだけど
辻褄が合ってると思い込んでいる

起きて反芻してみると
たいしたストーリーでもないのに
なんだかとっても不思議な夢を見たような気になっている
言葉にするとスカスカのほんの数行
それなのに意表を突くニュアンスで味付けされているから
異次元にでも迷い込んだような錯覚に陥る
 
時間が溶けた時計の刻む偏執狂的なものに変わっていく
私的な静寂の空に
紫色の雲が流れ始め
祈りが逆流しだす
 
あの世が夢の終わりから始まり
太陽は西から昇り
もう二度と沈むことがない地平線を滑っていく
 
空気の漏れた呼吸が
頭がい骨の中で蒸発し始めると
目玉の裏の記憶がひっくり返って
過去へ向かって時計が進んでいく