恐ろしく、悲しい

 
 
昨日は怖くて朝まで眠れなかった。
  
この世の不条理が恐ろしくて。
 
そんなことってここのところしばらくなかった。
 
 
不幸になりたい人間なんていない。
 
若い殺人者の放心した目。
 
孤独な携帯サイトへの書き込み。
 
幸せってなんなんだろう。
 
 
死によって別れ別れになる
 
人間の生って、なんて短いのだろう
 
 
誰にも分からない
 
生きている意味を
 
だから歌ったり踊ったりして 
 
愛し合ったり憎しみ合ったりして
 
想い出を語り合ったりして
 
 
愛していると言って別れて行く
 
死んでも愛しているよ、と言って
 
あの世に旅立つ
 
それまでの仮の宿り
 

決して償えない悪夢を
 
死によってしか忘れることのできない過ちにしてしまった
 
取り返しのつかない行為
 
 
そんなに極悪非道な人間には思えないから
 
なおさら恐ろしい
 
この世の不条理
 
 
かつてナチは
 
官僚的にユダヤ人を
 
効率的に虐殺した
 
そして
 
餓えて死んで行くユダヤ人収容所の同じ敷地内で
 
ナチの将校は妻と子共達と”幸せな”家庭生活を送り
 
日々の”労働”に”まじめに”従事していた。
 
民族虐殺という”日々の仕事”
 
そんな不条理が恐ろしかった
 
夜も眠れなくなった
 
小学校4年か5年のときだった
 
「夜と霧」を東京12チャンネルの映画で何度も見た。
 
再放送が何度もあって
 
そのたびにTVに釘付けになって見た。
 
 
人殺しという犯罪も
  
戦争の下で行えば国家的英雄になれる
 
そんな不条理が恐ろしくて
 
夜も眠れない
 
人間のなしうる非人間的行為の動機となるもの
 
それはまた
 
幸福の追求であったり、自由の表現であったりする恐ろしさ
 
普通の人間の狂気
 
本当の狂人がもっともまともな人間で
 
もはや狂気が逆説的に逆転している社会の常識が恐ろしい
 
 
いったい何を基準に
 
幸福を追求すれば
 
いったいこの世の中で
 
それを実感できるのだろうか
 
そんな一個人の限界が恐ろしく、悲しい