バイオ・エタノールについて
さて、
ほんとうは、こんなこと書きたくない、
なぜなら、めんどくさいから、
そもそも、ブログを書くこと自体が面倒なのだ。
というか、いちいち、継起的な文章を、逐次的に書いていくこと自体が面倒なのだ。
が、
バイオ・エタノールのニュースをTVでチラッと見たから
ここに書いておかなければならないと思った。
から、書く。
☆
バイオ・エタノールを3%混ぜたガソリンが
日本のガソリン・スタンドで販売されるそうだ。
値段は、レギュラーと変わらないらしい。
☆
ところで、僕は、二十数年前、カリフォルニアのバークレー近辺をうろついていた。
高校を卒業して、やることもなかったので、そこらへんにいたわけだ。
(そして、シャスタ山麓のコミューンにそのあと行くことになったのだが・・)
バークレーの本屋には、当時、『オルターナティブ・エナジー』の本が溢れていた。
たとえば、「ウインド・ジェネレータの造り方」、
「ソーラー・ハウス」の造り方(「ログ・ハウスの造り方」はもちろんのこと)、
『アルコホルで車を走らせる方法』。などなど。
つまり、二十五、六年前、
既にカリフォルニアでは、
地球温暖化と叫ばれる以前に、
『エコロジー』ブームが起きていた。
そして、化石燃料を燃やさずに、しかも、(ここが最も大切なところだが)
→『原子力』も使わずに、(つまり原子の火も燃やさずに(つまり、物質を破壊することをせずに))
エネルギーを作り出そうという『新思想』が熱を帯びて叫ばれていたのだ。
☆
そんな折、ぼくはシャスタ山麓のコミューンに彷徨い込んだ。
そこは、『わら一本の革命』で有名な福岡さんも訪れたことのあるコミューンで、
自然農法を実践しようとしていた。(小規模ながら、食べ物などは栽培していた。)
自然農法で大々的に何を作ろうとしていたのか?
芋である。
芋のでんぷんからアルコールを造り、アルコールで車を走らせよう。
船を走らせよう。
電球を灯そう。
としていた。
今で言えば、『バイオ・エタノール』である。
造り方は簡単。
焼酎を造ればいいのだ。
芋焼酎でも、麦焼酎でも、なんでもいい。(要するにでんぷんがあれば、アルコールが作れる。)
そして、アルコールの搾りかすを家畜の飼料にする。
ブタやニワトリやヤギや牛を飼い(ヤギの乳や牛の乳も飲める)、
家畜の糞を芋畑の肥料にする。
これで生態系の連鎖が出来上がる。
つまり、『持続可能な循環型経済』が出来上がるわけだ。
そして、そこから、クリーンなエネルギーが生産される。
バイオ・エタノールだ。
燃やしても二酸化炭素と水ができるだけで、環境を汚染しない。破壊しない。
半減期が何千年なんていう核廃棄物もできない。
理想的なオルターナティブ経済だ。
☆
さて、
こんな理想的なエネルギー(バイオ・エナジー)ができるのなら、
なんでそれを使わないのか?
ガソリン・エンジンにアルコールは使えないから?
どうもそうではないらしい。
当時、ガソリン・エンジンは簡単にアルコール・エンジンに改造できると言われていた。
(そして、バークレーの本屋にはそんな本が沢山並んでいた・・とぼくは記憶している)
それに、ソーラーバッテリーだってできるし、ウインド・ジェネレータだって作れる。
みんな、芋焼酎で車を走らせればいいじゃないか。
家々の屋根にソーラーパネルを取り付ければいいじゃないか。
風の吹く海岸にウインド・ジェネレータを立てればいいじゃないか。
なんでそんなことができないのか。
☆
当時から(つまり二十五、六年前、いや、それ以前から)言われていたのは
つまり・・
経済が奴らに牛耳られているからという理由だった。
奴らとは、
石油経済、原子力経済
メジャー
オイル・マネー銀行
軍産複合体
ドル
つまり
アメリカという
多国籍企業コンツェルンの役員が政府を動かしている国家。
つまり、アメリカという国家を利用して世界を動かそう(牛耳ろう)としているアメリカ人。
☆
一方で、それを見透かしているアメリカ人もいた。
つまり、
インディアンを虐殺したことに心の痛みを感じているアメリカ人。
たとえば、『亀の島』を書いたゲーリー・スナイダーという詩人。
マッド・サイエンティストのティモシー・リアリーやジョン・C・リリー
つまり、
60年代のベトナム戦争で、アメリカ政府に疑問を持ったことから始まる
いや、それ以前、ビートの頃から始まる
アメリカのオリジナリティーを追及する人たち。
自動車と、ファースト・フードと、石油成金以外に、
アメリカの文化はないのかと模索し始めた人たち。
彼らによって、
石油経済から脱却しようという動きが出て来たのは間違いない。
(ぼくがいた山のコミューンのボスはユダヤ人だったが、彼の兄弟は、NSAにいるということだった。
《ちょっとヤバイ話になってきたかもしれないが・・》)
でも、
世界経済を根本から変えよう
(つまり『革命』ってこと?)
と、企てている人たちにとっては、
危険はつきもののはず。
☆
福岡さんだって、とってもヤバイ話をしていた。
収穫量が今の米の2倍近くあり、しかも『自然農法』で栽培できる(耕さなくてもいい)品種があるとしたら、
それこそ、農業革命だ。
そんな米があるという。(ここだけの話・・)
☆
さて、
バイオ・エタノールの生産を第三世界にデモンストレーションしよう
というのが、
ぼくが二十数年前にいたカリフォルニアのコミューンの活動目標だったのだ。
第三世界、別名、発展途上国(中近東の石油産出国は除く)
は、
やがて、石油・原子力経済に巻き込まれていくだろう。否、巻き込まれていかざるを得ない。
さもなければ、地球規模での貧富の差は益々広がり、農業を営む第一次産業は壊滅するだろう。
ところが、もし、第三世界、別名、発展途上国(中近東の石油産出国は除く)が、石油・原子力経済に巻き込まれていったら、彼らも、車を持ち、電力を消費し、つまり、
石油を消費し、それでも足りないから、原子力を使い出したとしたら、
いったい地球はどうなってしまうのか?
もし、中国人の人口の半分が自動車に乗るようになったら、
二酸化炭素の排出量はどのくらいになるか?(その当時、ぼくはその数字を覚えていたが、今はもう忘れてしまった・・でも、二酸化炭素の排出量は、壊滅的な数字なることは間違いない)
☆
というわけで、
第三世界にエコロジー経済=オルタナティブ・エナジーによる持続可能な循環型経済をデモンストレーションしようと言って、
フィリピンのデュマランの孤島に、当時(二十数年前)カサバ芋の畑を作っていた。
そして、ぼくは、そこに行ってアルコール(焼酎)を造り、それで、船を走らせようとして、
彼(山にいたコミューンのボス)とシャスタ山麓を後にしたのだった。
☆
それから、二十五、六年経って、
バイオ・エタノールがガソリンに3パーセント混ぜられたというニュースを目にしたわけだ。
それまでは、電気自動車だのハイブリッドだのが騒がれていた。否、今でも〈省エネ対策〉としては電気自動車が有効と考えられているのだろう。でも、電気も所詮、石油か原子力だ。
だから、本当は、バイオ・エタノールの方がいい。
そして、これから、ガソリンに混ぜられるバイオ・エタノールの量は、
3%から4%、4%から5%と、徐々に増えていくだろう。
そうなると、当然、石油の消費量が減る。そして、石油メジャーだの、サウジの富豪だのの代わりに
バイオ・エタノールを生産する〈芋焼酎の酒蔵〉が、〈バイオ長者〉となる日も近いだろう。
つまり、原子力発電所は芋畑にとって代わられるのだ。
油田地帯の砂漠に芋が、〈自然農法〉によって栽培される日が来るのかもしれない。
それまでに、
たとえば、石油・原子力経済コンツェルンが、
彼ら自慢の軍事力で
われわれを脅かしたり、
〈殺したり〉
しないでほしい。
☆
もし、そんなことをしたら、
きみ達も、
月だか火星だか、その衛星だかに移住しない限り
地球は永遠に滅んでしまうことになりかねないのだから。