バイオ・エタノールについて

さて、
ほんとうは、こんなこと書きたくない、
なぜなら、めんどくさいから、
そもそも、ブログを書くこと自体が面倒なのだ。
というか、いちいち、継起的な文章を、逐次的に書いていくこと自体が面倒なのだ。
が、
バイオ・エタノールのニュースをTVでチラッと見たから
ここに書いておかなければならないと思った。
から、書く。

バイオ・エタノールを3%混ぜたガソリンが
日本のガソリン・スタンドで販売されるそうだ。
値段は、レギュラーと変わらないらしい。

ところで、僕は、二十数年前、カリフォルニアのバークレー近辺をうろついていた。
高校を卒業して、やることもなかったので、そこらへんにいたわけだ。
(そして、シャスタ山麓のコミューンにそのあと行くことになったのだが・・)
バークレーの本屋には、当時、『オルターナティブ・エナジー』の本が溢れていた。
たとえば、「ウインド・ジェネレータの造り方」、
「ソーラー・ハウス」の造り方(「ログ・ハウスの造り方」はもちろんのこと)、
『アルコホルで車を走らせる方法』。などなど。
つまり、二十五、六年前、
既にカリフォルニアでは、
地球温暖化と叫ばれる以前に、
エコロジー』ブームが起きていた。
そして、化石燃料を燃やさずに、しかも、(ここが最も大切なところだが)
→『原子力』も使わずに、(つまり原子の火も燃やさずに(つまり、物質を破壊することをせずに))
エネルギーを作り出そうという『新思想』が熱を帯びて叫ばれていたのだ。

そんな折、ぼくはシャスタ山麓のコミューンに彷徨い込んだ。
そこは、『わら一本の革命』で有名な福岡さんも訪れたことのあるコミューンで、
自然農法を実践しようとしていた。(小規模ながら、食べ物などは栽培していた。)
自然農法で大々的に何を作ろうとしていたのか?
芋である。
芋のでんぷんからアルコールを造り、アルコールで車を走らせよう。
船を走らせよう。
電球を灯そう。
としていた。
今で言えば、『バイオ・エタノール』である。
造り方は簡単。
焼酎を造ればいいのだ。
芋焼酎でも、麦焼酎でも、なんでもいい。(要するにでんぷんがあれば、アルコールが作れる。)
そして、アルコールの搾りかすを家畜の飼料にする。
ブタやニワトリやヤギや牛を飼い(ヤギの乳や牛の乳も飲める)、
家畜の糞を芋畑の肥料にする。
これで生態系の連鎖が出来上がる。
つまり、『持続可能な循環型経済』が出来上がるわけだ。
そして、そこから、クリーンなエネルギーが生産される。
バイオ・エタノールだ。
燃やしても二酸化炭素と水ができるだけで、環境を汚染しない。破壊しない。
半減期が何千年なんていう核廃棄物もできない。
理想的なオルターナティブ経済だ。

さて、
こんな理想的なエネルギー(バイオ・エナジー)ができるのなら、
なんでそれを使わないのか?
ガソリン・エンジンにアルコールは使えないから?
どうもそうではないらしい。
当時、ガソリン・エンジンは簡単にアルコール・エンジンに改造できると言われていた。
(そして、バークレーの本屋にはそんな本が沢山並んでいた・・とぼくは記憶している)
それに、ソーラーバッテリーだってできるし、ウインド・ジェネレータだって作れる。
みんな、芋焼酎で車を走らせればいいじゃないか。
家々の屋根にソーラーパネルを取り付ければいいじゃないか。
風の吹く海岸にウインド・ジェネレータを立てればいいじゃないか。
なんでそんなことができないのか。

当時から(つまり二十五、六年前、いや、それ以前から)言われていたのは
つまり・・
経済が奴らに牛耳られているからという理由だった。
奴らとは、
石油経済、原子力経済
メジャー
オイル・マネー銀行
軍産複合体
ドル
つまり
アメリカという
多国籍企業コンツェルンの役員が政府を動かしている国家。
つまり、アメリカという国家を利用して世界を動かそう(牛耳ろう)としているアメリカ人。

一方で、それを見透かしているアメリカ人もいた。
つまり、
インディアンを虐殺したことに心の痛みを感じているアメリカ人。
たとえば、『亀の島』を書いたゲーリー・スナイダーという詩人。
マッド・サイエンティストのティモシー・リアリーやジョン・C・リリー
つまり、
60年代のベトナム戦争で、アメリカ政府に疑問を持ったことから始まる
いや、それ以前、ビートの頃から始まる
アメリカのオリジナリティーを追及する人たち。
自動車と、ファースト・フードと、石油成金以外に、
アメリカの文化はないのかと模索し始めた人たち。
彼らによって、
石油経済から脱却しようという動きが出て来たのは間違いない。
(ぼくがいた山のコミューンのボスはユダヤ人だったが、彼の兄弟は、NSAにいるということだった。
《ちょっとヤバイ話になってきたかもしれないが・・》)
でも、
世界経済を根本から変えよう
(つまり『革命』ってこと?)
と、企てている人たちにとっては、
危険はつきもののはず。

福岡さんだって、とってもヤバイ話をしていた。
収穫量が今の米の2倍近くあり、しかも『自然農法』で栽培できる(耕さなくてもいい)品種があるとしたら、
それこそ、農業革命だ。
そんな米があるという。(ここだけの話・・)

さて、
バイオ・エタノールの生産を第三世界にデモンストレーションしよう
というのが、
ぼくが二十数年前にいたカリフォルニアのコミューンの活動目標だったのだ。
第三世界、別名、発展途上国(中近東の石油産出国は除く)
は、
やがて、石油・原子力経済に巻き込まれていくだろう。否、巻き込まれていかざるを得ない。
さもなければ、地球規模での貧富の差は益々広がり、農業を営む第一次産業は壊滅するだろう。
ところが、もし、第三世界、別名、発展途上国(中近東の石油産出国は除く)が、石油・原子力経済に巻き込まれていったら、彼らも、車を持ち、電力を消費し、つまり、
石油を消費し、それでも足りないから、原子力を使い出したとしたら、
いったい地球はどうなってしまうのか?
もし、中国人の人口の半分が自動車に乗るようになったら、
二酸化炭素の排出量はどのくらいになるか?(その当時、ぼくはその数字を覚えていたが、今はもう忘れてしまった・・でも、二酸化炭素の排出量は、壊滅的な数字なることは間違いない)

というわけで、
第三世界エコロジー経済=オルタナティブエナジーによる持続可能な循環型経済をデモンストレーションしようと言って、
フィリピンのデュマランの孤島に、当時(二十数年前)カサバ芋の畑を作っていた。
そして、ぼくは、そこに行ってアルコール(焼酎)を造り、それで、船を走らせようとして、
彼(山にいたコミューンのボス)とシャスタ山麓を後にしたのだった。

それから、二十五、六年経って、
バイオ・エタノールがガソリンに3パーセント混ぜられたというニュースを目にしたわけだ。
それまでは、電気自動車だのハイブリッドだのが騒がれていた。否、今でも〈省エネ対策〉としては電気自動車が有効と考えられているのだろう。でも、電気も所詮、石油か原子力だ。
だから、本当は、バイオ・エタノールの方がいい。
そして、これから、ガソリンに混ぜられるバイオ・エタノールの量は、
3%から4%、4%から5%と、徐々に増えていくだろう。
そうなると、当然、石油の消費量が減る。そして、石油メジャーだの、サウジの富豪だのの代わりに
バイオ・エタノールを生産する〈芋焼酎の酒蔵〉が、〈バイオ長者〉となる日も近いだろう。
つまり、原子力発電所は芋畑にとって代わられるのだ。
油田地帯の砂漠に芋が、〈自然農法〉によって栽培される日が来るのかもしれない。
それまでに、
たとえば、石油・原子力経済コンツェルンが、
彼ら自慢の軍事力で
われわれを脅かしたり、
〈殺したり〉
しないでほしい。

もし、そんなことをしたら、
きみ達も、
月だか火星だか、その衛星だかに移住しない限り
地球は永遠に滅んでしまうことになりかねないのだから。