現代詩人

今日、6限の授業が終わった帰り
地下鉄で、白石先生に出会った。
青天の霹靂。
当然、同じ学校に通っているのだから、
(先生と生徒の違いはあっても・・・)
出くわすのは、必然?
でも、なかなかお顔を拝見することはなかった。
去年の「現代詩」の授業以来。
終着の中野駅までご一緒した。
 
白石先生との出会いは、
「現代詩文庫」の白石公子詩集を読んでファンになったことから始まる。
何故、先生の詩集を読んだかというと、
1年生のときの「ドイツ文化探検」という授業で、
ホロコーストを体験したドイツのユダヤ人詩人、パウル・ツェランの詩を翻訳された
飯吉光先生の授業を 幸運にも受けることが出来たからだ。
 
飯吉先生の授業はとても印象的だった。
お話しは時々脱線されるが、落ち着いていて、静かで、やはり詩的というか・・・
教室全体が静まり返っていた。
そして、先生が朗読してくださったパウル・ツェランの詩。
その場で、ただちに虜になった。
中でも最高なのは『詩篇』という詩。
 
ところで、飯吉先生の「ドイツ文化探検」レポートの課題は、一風変わっていた。
「日本の現代詩人の中から、出来るだけ若い作者を一人選び、自由に論ぜよ」
というものだった。
なぜ、ドイツ文化の授業なのに、日本の現代詩について書かなければならないのか?
疑問にも思ったが、僕には、禅の公案のようにも思われた。
 
早速、休み時間、帰宅時間などを利用して書店に行き、
片っ端から、現代詩文庫を立ち読みした。
休日には、図書館にも出かけた。
 
詩集だから、当然、文字数は少ない。
片っ端から速読するのだから、つまらない詩は斜め読みする。
いちいち言葉に込められた深い意味など、詩的に味わっている暇はない。
 
ほとんどの現代詩人の詩が、印象に残らない。
(ちなみに、僕の好きな日本人の詩人は、八木重吉金子みすず。でも古すぎる)

そんな中で、やっと見つけた。

『白石公子詩集』
 
言葉が直接響いてくる。
僕でも理解できる。
(ちゃんとした日本語)
パッションを感じる。
知的なイマジネーションも感じる。
そして、スタンドプレーがない。
自然だ。
エロスも感じる。
グッとくる。
直感的。
 
すぐに、彼女の詩のファンになった。
 
当然、レポートは、白石先生について書いた。
(ちなみにAをいただいた。)
 
それで、話は終わるはずだったが、
翌年。
早大二文のシラバスを見て驚いた。
な、なんと!
あの白石先生の名前が載っていたのである!
しかも、『現代詩』の授業の先生!
 
さっそく受講することにした。
 
テーマを与えられ、詩を書いて、提出。
先生の論評と伴に、教室で朗読。
何篇も書いているうちに面白くなってきた。
ブログにも載せるようになった。
(幻の詩集『あまたのおろち』by 紫源二)
http://blog.goo.ne.jp/hoshius/
 
そんな折、長年の真の友人だった Yさん(40才年上の女性)が
突然なくなった。
脳出血だった。
 
そのときの想いを詩に書いた。
 
白石先生は、その詩を絶賛してくださった。
『頭蓋骨』という詩だ。
http://blog.goo.ne.jp/hoshius/e/280495b8a83db4bd2d4bb900582b9b03
中原中也よりもいい」
とおっしゃってくださった。
  
白石先生に、僕のブログのURLを教えた。
 
ところで、先生は、僕の日記を見てくれたらしく、
Yさんのなくなった日の日記に興味をしめされた。
 
今日、地下鉄で、
「あのおばあさんのお話しを小説に書いたら」
と言われた。
 
そうです。
今書いているところなのです。
でも、小説ではありません。
エンターテイメントではなく、地味な自伝として・・・。
『紫源二の自伝的回想』
http://blogs.dion.ne.jp/hoshius/
 
Yさんのことを書こうとして、書けず、
6月以降、UPしていません。
 
でも、またなんとか書こうと思っています。
文章は下手だし、修辞も文章表現も下手だから、
エンターテイメントな小説にはならないだろうし・・・
多分、読者には何を書いているのか伝わるかどうかも判らないし・・・
でも、『自伝的回想』の読者は、以前は4,50人くらいいたのですが・・・
随分、そのまま放置しているから、もう忘れ去られているでしょう。
 
さて、というわけで、
僕が書かなければならないことは、たくさんあります。
今度、学校で提出したレポートも
このブログにUPしようと思っています。
 
それでは、白石先生
またお会いできるのを楽しみにしています。
今度、お会いしたら、お茶を誘ってもいいですか?
 
振り返ると
駅の雑踏
ホームにたむろする
帰宅のサラリーマンやOLの影に紛れて
いつの間にか姿を消してしまわれた。
 
現代の日本の
数少ない、希少な貴重な
現代女流詩人。
 
今日は、
お会いできて、とても幸運でした。