脳と心の二元論

 ペンフィールドは、『脳と心の正体』の中で、二元論を提唱している。つまり、心は脳の働きに全て還元され得ないと。しかし今日、一般的には、脳が破壊されたら、つまり死んだら、心も消えてなくなると考えるのが“科学的考え”だと信じられている。物理学を真理を解明する唯一かつ最も客観的科学的方法だと信じて疑わない学者の権威によって、古い自然科学的世界観が未だに知的な考えだと錯覚され続けている。
 自称‘自然科学者’の多く(その中にいわゆる‘脳科学者’も含まれる)は、心は脳神経の電磁気的作用及び、ペプチドホルモンの化学的作用によって生じたものだと臆面もなく幼稚な考えを声高に主張し続けている。
 しかし、ペンフィールドは、脳神経のまさに電磁気的実験によって、唯物論的一元論とは全く違ったモデルを導き出した。それが、“脳と心の二元論”なのだ。彼は、脳の働きを化学的電磁気的に説明できないと言っているのではない。そうではなく、この脳を操作している“主体”は、脳の電磁気的働きによって生じているものではないと言っているのだ。この主張は、唯物的一元論者の還元論よりもはるかに論理的であり合理的であり、現実的であると私には思われる。何故なら‥‥