ロシア世紀末美術(ヴルーベリ)

 1856年シベリアのオムスク生まれの画家、ヴルーベリ・ミハイルの絵画を見た。
 彼は、ペテルブルク大学法学部から美術アカデミーに進学し、キエフの壁画の修復なども手がけた世紀末ロシアの新世代を代表する画家だ。
 驚いたことに、ラファエル前派やクリムトオリエンタリズム、モローやルドンの象徴主義絵画、さらには、彼の奥さんの肖像画を見ると、エゴン・シーレの独特のマチエールを先取りしているようにも見受けられた。世紀末絵画の全てを含んでいる。彼ひとりでその全てをやってのけたのは、驚嘆に値する。精神的病で早世したというが、作品の多様性をみればそれもうなずける。「ペルシャ絨毯を背景にした少女」は、中でも最高に気に入った。「女トランプ占い師」も傑作だと思った。「座っている悪魔」などの悪魔シリーズは、ルドン以上に超モダンだ。
 恐るべし、ロシア世紀末美術。