脳と心のモデル(その1)

 以上のようなペンフィールドの考察から、私は脳と心のモデルを次のように推論する。
 “最高位の脳機能”(ペンフィールドによれば脳幹上部)によって、睡眠時に心のスイッチがOFFにされると、心は外部感覚器官からの情報を受け取ることはなくなる。(“感覚”の喪失)
 同時にこのとき、脳の機能である“記憶”、“言語”また、肉体がこの世に生まれてからこのかたまでの“自我”あるいは“人格”をも失う。
 しかし、われわれが“意識”を失った後も、心は脳と接続されていないだけで、依然として“存在している”ことは確かだ。しかし、そこで心が何を体験し、何を得たのかは、われわれが意識を取り戻したときの脳の記憶には一切記録されない。したがって、われわれは、意識を失なった後、心は、あたかも存在していなかったように錯覚しているだけなのではないだろうか?
 また、この脳と心の接続スイッチをON/OFFさせているのは、“最高位の脳機能”だけで行われているのではなく、同時に、“心の主体的判断”との“協調”によって、なされているのではないかと私は考えている。何故なら…