この物語はフィクションです

 
 
カミソリで心臓に切れ込みを入れてみた。
 
予想してたが、やっぱり痛かった。
 
あなたも何か感じているにちがいない。
 
きっと逆さまになった感覚。
 
それとも、痛み? 笑い?
 
 
僕の方が失うものがずっと大きいっていうことをわかってもらいたかった。
 
”賭ける”ってそういうことでしょ?
 
ぼくはもともと無一文の放浪者だから、全て失っても怖くない。
 
でも、べガスで全財産賭けるんじゃなくて、
 
僕の作り出したフィクションに賭けるのだから、
 
でも、ちゃんと実在している。
 
だから、しかたがないのに。
 
忘れていた。すっかり。
 
僕の一人遊びに付き合わせてごめんね。
 
そして、ありがとう。
 
ごめんなさい。